名城大学薬学部講義—患者視点から学ぶ疾患理解と接し方
本日、名城大学薬学部の講義に登壇してきました。2年生と3年生、それぞれ異なるテーマで、患者視点から医療を考える講義を行いました。
2年生向け講義:がん体験を薬剤師の実践に活かす
2年生には、僕自身のがん体験とそれを薬剤師としてどのように生かしているかを講義しました。
医学生や薬学生の多くは、患者としての経験を持たないまま医療職に進みます。そのため、教科書の知識と実際の患者の苦しみや不安とのギャップが生まれやすいのです。
がん患者としての経験——治療の苦しさ、不確実性への恐怖、医療者への信頼とその裏返しとしての失望——こうした一つ一つの経験が、今の薬剤師活動でどのように役立っているか。具体的な事例を通じて、患者理解の深さがいかに医療実践に影響を与えるかをお話ししました。
3年生向け対談講義:認知症希望大使・近藤葉子さんとの対談
3年生には、新しい試みとして、愛知県認知症希望大使の近藤葉子さんとの対談講義を行いました。
葉子さんとは友達でもあるので、単なる一方的な講義ではなく、グイグイとツッコミを入れました。医療職としての「正しい知識」と、実際に認知症と向き合う患者・家族の「リアルな経験」とのズレを、対話の中で浮き彫りにするためです。
後から聞くと、葉子さんは「変幻自在な質問に戸惑いながらも答えた」とのことでした。その戸惑いこそが、実は学生たちにとって最も大切な学びなのです。医療者が当たり前だと思っている説明が、患者にとっては別の意味に聞こえることもあれば、医療者が想定していない視点から患者は世界を見ていることもある——そうした「ズレ」に気づくことが、真の患者理解への第一歩だからです。
疾患名からのイメージを超える
講義を通じて、学生たちに伝えたかったことは、こうです:
「疾患名からイメージが浮かぶのは仕方がない。しかし、そのイメージは典型的な状態に過ぎない。それは横に置いて、その人と接することが大切だ」
医学教育では、診断基準や症状分類が重視されます。それは必要な知識です。しかし、それに縛られると、患者という「個人」が見えなくなってしまいます。
近藤葉子さんとの対談を通じて、学生たちは、そうした「典型」を超えた患者の多様性を実際に体験することができました。その体験こそが、将来の医療実践を大きく変えるのだと思います。
医学教育における患者視点の重要性
医学部や薬学部の教育は、どうしても「知識の習得」が中心になりがちです。しかし、本当に大切なのは、その知識をいかに患者理解に活かすかという「智慧」なのです。
患者を講師として招き、医療職の学生に直接、患者の視点を伝える——このような試みが、医療教育の中で当たり前になるべきだと感じました。
しあわせです。❤️ 感謝
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