医療接遇研修の講師はどう選ぶ? 失敗しない5つのチェックポイント
「毎年、接遇研修をしているのに、患者アンケートの結果が変わらない」
「マナー研修をしたら、医師や看護師から『現場と合わない』と言われてしまった」
病院やクリニックで研修を担当されている方から、こうしたご相談をよくいただきます。医療接遇研修は、講師の選び方で効果が大きく変わる研修です。
私は白血病と20年以上付き合いながら、薬剤師、元製薬会社の研修担当、そして医療接遇研修の講師として、口コミだけで全国800回以上の講演・研修を行ってきました。この記事では、研修を「やって終わり」にしないための講師選びのチェックポイントを、依頼する側の目線でまとめます。
なぜ医療接遇研修は「講師選び」で失敗しやすいのか
接遇研修の講師というと、ホテルや航空会社などサービス業出身のマナー講師を思い浮かべる方が多いと思います。挨拶や身だしなみ、言葉づかいを学ぶうえでは、とても頼りになる存在です。
ただ、医療の現場には、サービス業とは違う事情があります。患者さんは「おもてなし」を受けに来ているのではなく、病気や不安を抱えて、やむを得ず来ているからです。
実際に、私が長年新規採用職員の接遇研修を担当してきた某病院でも、私が呼ばれる前は「内容は分かるが、医療現場のリアリティと違う」「忙しい臨床ではホテルのような接遇に違和感が残る」という声があったそうです。
つまり、「接遇のプロ」であることと、「医療接遇のプロ」であることは別なのです。
医療接遇研修の講師を選ぶ5つのチェックポイント
1. 医療現場の事情を知っているか
医療者は、限られた時間の中で、診療・処置・記録をこなしています。「もっと笑顔で」「もっと丁寧に」と言うだけでは、現場の負担が増えるばかりです。
確認したいこと:医療機関での研修実績があるか。医療者の忙しさや立場を理解したうえで、「現実にできること」を提案してくれるか。
2. 「患者が本当に求めていること」を語れるか
患者さんがいちばん求めているのは、きれいなお辞儀の角度ではありません。私自身の経験から言うと、「この苦しみを分かってほしい」「不用意な言葉で傷つけられたくない」という気持ちです。
がんの疑いを告げられてから告知直後の2週間、患者の心の中で何が起きているのか。どんな言葉に救われ、どんな態度に傷ついたのか。こうした患者側の一次情報は、医療者が自分の対応を見直す、いちばん強いきっかけになります。
確認したいこと:一般論ではなく、具体的な場面や言葉で「患者の心理」を説明できるか。
3. 自院の課題に合わせて内容を変えてくれるか
「待ち時間へのクレームが多い」「新人の言葉づかいが気になる」「多職種で意識をそろえたい」など、病院によって課題はさまざまです。毎回同じスライドで話す研修では、自院の課題にはなかなか届きません。
確認したいこと:事前の打ち合わせがあるか。患者アンケートの結果や現場の声をもとに、内容を調整してくれるか。
4. 聞いて終わりにならない工夫があるか
どれだけ良い話でも、聞いているだけでは翌日の行動はなかなか変わりません。短いワークやロールプレイで「自分ならどうするか」を考える時間があると、学びが現場に持ち帰られやすくなります。
確認したいこと:受講者が参加する時間(ワーク・質疑・ロールプレイ)がどのくらいあるか。話し方やスライドが分かりやすいか。
5. 研修のあとにつながる仕組みがあるか
接遇は、一度の研修で完成するものではありません。私が10年以上研修を担当してきた病院は、私自身が患者として通院している病院でもありました。受診のたびに気づいたことを教育担当の看護師長にお伝えし、翌年の新人研修に生かしてきました。
確認したいこと:研修後のフォローや振り返りの資料があるか。翌年以降も続けやすい内容か。
依頼する前に決めておくとスムーズなこと
講師に相談するときは、次のことが分かっていると、内容や費用の提案がぐっと具体的になります。まだ決まっていない項目があっても大丈夫です。
- 目的:患者アンケートの改善、クレームの減少、新人の意識づくり など
- 対象者:新規採用職員、看護師、医師を含む全職員、受付・事務 など
- 人数:ワークの方法が変わるため、おおよその人数
- 時間:60〜90分の講演形式か、半日のワーク形式か
- 時期と方法:希望の時期、会場かオンラインか
- 予算:決まっている場合は、その範囲でできる形をご提案できます
新規採用職員研修は4月に集中するため、3か月〜半年前にご相談いただけると確実です。
研修の内容や時間の組み立て方は、病院の接遇研修、何をどのくらいやる? 内容・時間・進め方の実例(90分版/半日版)で詳しく紹介しています。
費用の目安
私の場合、医療機関・企業・団体向けの目安は次のとおりです(いずれも交通費別)。学校・教育機関や公的な団体は、できる限りご予算に合わせます。
- 講演(60〜90分):10万円〜
- ワークを組み込んだオリジナル研修(3時間まで):20万円〜
くわしくは講師費用のページをご覧ください。
まとめ:選ぶ基準は「患者の心に届くかどうか」
医療接遇研修の目的は、職員がマナーを覚えることではなく、患者さんが「ここに来てよかった」と安心できることです。講師を選ぶときは、ぜひ「この人の話は、患者の心に届く接遇につながるか」という目で見てみてください。
私は、がん患者・薬剤師・研修講師の3つの立場から、貴院の課題に合わせた医療接遇研修をご提案しています。「まだ開催が決まっていない」「費用感だけ知りたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。


