がんサバイバーが語る「エビデンスという言葉の闇」。怪しい情報から命とお金を守る方法
「このサプリが、がんに効くらしい」 「ネットに、がんが消えたというデータ(エビデンス)があった」
がんになると、家族や友人から、このような「善意」の情報を勧められることが驚くほど増えます。
しかし、その「エビデンス」という言葉、本当に信頼できるものですか?
この記事では、がんサバイバーとして、また医療研修の専門家として、患者を苦しめる「エビデンスという言葉の闇」と、
命とお金を守るための「正しいエビデンスの見極め方」を具体的に解説します。
善意が引き起こす「辛さ」
これまで多くの方から「これがんにいいみたい」といろいろなものを勧められてきました。
その度に「僕に勧めるエビデンスはあるの?」と尋ねると「がんが良くなった人がいるみたい」「ネットにデータが載っていた」「エビデンスって何?」という声がほとんどでした。
みなさん善意な気持ちで進めてくれるのは判っているだけに対応するのが辛く感じました。
最近でもがんサポ喫茶でも「エビデンス」に関わる相談がありましたので、判りやすく概要を解説してみました。
なぜ「エビデンス」という言葉に騙されるのか?
なぜ、あれほど多くの「がんに効く」という情報が出回るのでしょうか? それは、「エビデンス」という言葉が、非常に曖昧に使われているからです。
紹介されたネット記事を読むと、その「エビデンス」の正体は、
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動物実験や細胞実験(マウスやシャーレ)の結果だった
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数人〜数十人の「個人の体験談」をまとめただけだった
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(標準治療と併用したのに)そのサプリ“だけ”のおかげだと主張していた
というケースがほとんどです。これらは、医学の世界では「エビデンス」と呼ぶには、残念ながらあまりにも“弱い”根拠です。
医療者が語る「本当のエビデンス」とは?
「エビデンスについて教えて?」と言われて「エビデンスレベルについて」1時間ほど説明したこともありますが、僕の説明が悪かったのか理解してもらえませんでした。
ここで、簡単に解説します。 医療の世界で「本当に信頼できるエビデンス」とは、**「科学的なルールに基づき、“多くの患者さん”で比較・証明されたデータ」**を指します。
この信頼度には「レベル」があります。
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レベルが【高い】(信頼できる)エビデンス:
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ランダム化比較試験(RCT)やメタ分析と呼ばれる、「数百〜数千人の患者」を「くじ引き(ランダム)」で分けて、効果を厳密に比較した研究。
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レベルが【低い】(信頼できない)エビデンス:
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動物実験細胞実験 -
個人の体験談(「〇〇さんのがんが消えた」など)
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患者を惑わす情報の多くは、この「レベルの低い」ものを「エビデンス」と呼んでいます。「エビデンスがある」と言われたら、**「それはどのレベル(動物実験? 体験談? RCT?)の話ですか?」**と問い返す知識が、私たちには必要です。
命とお金、そして自分らしく生きることを大切に
それでも判りにくかったらがんサポ喫茶で話し合いましょう。
がんサバイバーとその家族・友人、がんピアサポーターはある程度理解しておくことをお勧めします。
命とお金、そして自分らしく生きることを大切に。
しあわせです❤感謝
不安や疑問は、一人で抱えないで
「この治療法、本当に信頼できる?」 「友人からの“善意”を、どう断ればいいか分からない」
そんな不安や悩みは、絶対に一人で抱え込まないでください。 私が運営するオンラインサロン「がんサポ喫茶止まり木」は、そんなあなたの本音を、誰も否定せずに安心して話せる「日本一ゆるい」場所です。
正しい知識を共有し、あなたの大切な命とお金、そして「自分らしい生き方」を守りましょう。



