24年の経験から語る「高額療養費制度」シンポジウム参加報告
「高額療養費制度」に関するシンポジウムに参加しました。
- 高額療養費制度との出会いと感謝の気持ち:
がんと告知された当初、高額療養費制度のおかげで医療費の不安が大きく軽減され、
家族の生活を守ることができた経験を紹介しています。
- 制度の複雑さに気づいた新たな認識:
制度について何度か講演した経験を持ちながらも、今回のシンポジウム参加で
制度の理解が難しいことを再認識し、専門家の説明だけでは十分でないと感じた点を指摘しています。
- 「多数回該当」の落とし穴とリスク:
医療費が一定額に近づく患者は、薬の処方日数や検査内容の変更により自己負担が一時的に減少し、
結果として制度のカウントがリセットされ、長期的な負担増に繋がる可能性があることを指摘しています。
- 自分を守るための具体的対策法:
制度の理解と共に、治療費の把握、ケースを想定した対策、
専門家との連携が重要であり、自助努力と専門家のサポートを活用することを提案しています。
- 当事者の声と制度改善への期待:
患者自身の経験や声を制度改善に活かすことの意義を強調し、
議論を深めるために当事者の視点を取り入れていく必要性を訴えています。
制度との出会い、そして感謝
24年前にがんと告知された際、絶望とともに治療費の高さに家族の生活を守れるかという大きな不安を感じました。
しかし、この高額療養費制度の存在を知り、不安は大きく解消されました。
さらに、幸いにも所属企業の健保組合の付加給付制度のおかげで、自己負担額がさらに軽減され、心から感謝しています。
「複雑さ」ゆえの気づき
私自身、この制度について当事者として数回講演した経験がありますが、
今回のシンポジウム参加で、新たな勘違いに気づくことができました。
それほどまでに、この制度は複雑で理解が難しいのです。
専門家の方々による制度説明が中心でしたが、高額な自己負担、
いわゆる「経済毒性」から身を守るための具体的なノウハウは、
当事者である患者が一番詳しいと改めて感じました。
当事者の視点から提言:多数回該当の落とし穴
閉会間際ではありましたが、混乱を避ける範囲で発言させていただきました。
オンラインで不特定多数が視聴していることも考慮し、生々しい話は控え、
制度の運用上の重要なポイントに絞りました。
発言した内容は、高額療養費制度にある「多数回該当」というありがたい仕組みについてです。
この多数回該当の上限額ギリギリで治療を受けている患者にとって、
薬の処方日数の短縮、ジェネリックへの変更、検査項目の変更などで、
医療費の自己負担額が一時的に多数回該当の負担額を下回ると、
多数回該当のカウントから外れてリセットされてしまう可能性があるのです。
特に、長期処方(例:90日処方)を受けている場合は注意が必要です。
もしリセットされてしまうと、次回以降に負担額が戻ったり新薬への切り替えにより
さらに負担増になったりした際に、大幅な負担増につながる可能性があります。
まとめ:自分を守るための行動
制度が複雑だからこそ、まずは以下のステップで対策を講じる必要があります。
1. 高額療養費制度の仕組み(加入している保険、所得区分など)を理解する。
2. ご自身の現在の治療費の状況を正確に把握する。診療明細書など。
3. 様々なケースを想定し、対策を講じる。
特に「経済毒性」から身を守ってきた患者の具体的な対策を参考にすることが重要です。
私たちが運営する「がんサポ喫茶止まり木」には、私を含め「毒」防御の経験豊富な当事者が複数おり、
個別の相談に応じて対話しています。ただ、より盤石な体制のためには、
制度全体を把握する社労士やファイナンシャルプランナーなどの専門家との連携が不可欠だと感じています。
今回のシンポジウムを通して、当事者の声が加わることで、議論はさらに深まると確信しました。
今週は日本薬剤師学術大会に参加し、この問題について薬剤師の仲間たちと対話する予定です。
しあわせです

感謝