なぜ「元気なのに多目的トイレ?」は誤解なのか。オストメイトの困難と、あなたが加害者にならない方法
「あの人、元気そうなのに多目的トイレを使っている…」
もしあなたがそう思い、その方に注意をしたら、あなたは**「加害者」**になってしまうかもしれません。この記事では、なぜ今、多目的トイレで「オストメイト(人工肛門・人工膀胱保有者)」の方々がトラブルに巻き込まれているのか、その背景と、私たちが知るべき「オストメイトマーク」について解説します。
なぜ、多目的トイレでトラブルが起きるのか?
今、オストメイトの方が多目的トイレ(多機能トイレ)を利用しようとした際に、他の方から「元気そうに見えるのに、なぜ使うんだ」とクレームを付けられるトラブルが多発しています。
オストメイトは「内部障害」であり、服の上からは健常者と区別が付きません。 そのため、車椅子の方や、外見から見て支援が必要だと分かる方がトイレを待っている場合、誤解や偏見の対象となりやすいのです。
当事者の方が、ご自身が付けている「オストメイトマーク」を提示しても、残念ながらそのマーク自体の認知度が低いため、「それが何なのか分からない」と、さらに相手がエキサイトしてしまうケースまで報告されています。
オストメイトとは? なぜ専用トイレが必要?
オストメイトとは、がん(大腸がん・膀胱がん等)や事故、病気により、お腹に「ストーマ(人工肛門・人工膀胱)」を造設した方のことです。
彼らは、排泄物を溜める「パウチ」と呼ばれる袋をお腹に装着しています。
オストメイトの方が多目的トイレを必要とするのは、単に便座に座るためだけではありません。 そのお腹に溜まった排泄物を**「パウチから捨てる」作業や、「ストーマ周辺の皮膚を洗浄する」**作業のために、汚物流し(シンク)や、服を脱着するための広いスペースを備えた専用の設備が必要不可欠なのです。
この「パウチのケア」は、通常の狭い個室トイレでは極めて困難です。「元気そうに見える」外見とは裏腹に、彼らには多目的トイレでなければならない切実な理由があります。
私たちにできること:「オストメイトマーク」を知る
多目的トイレに、この「オストメイトマーク」が表示されているのは、そのためです。
もしあなたが、元気そうに見える方が多目的トイレから出てきたところを見ても、決して「ズルをしている」と決めつけないでください。その方は、「見えない障害」と向き合い、専用の設備でケアを必要としているオストメイトかもしれません。
まずはこの「オストメイトマーク」の存在を知っていただき、ぜひ多くの方にこの事実を紹介してあげてください。
日常の「生き辛さ」を共有する場
この記事で取り上げた「オストメイト」の問題のように、がんサバイバーは日常生活の中で、周囲に理解されにくい多くの「生き辛さ」を抱えています。
私が運営する「がんサポ喫茶止まり木」では、普段からこうした「本音」を語り合い、共有しています。
しあわせです❤感謝
この「生き辛さ」を、あなたの周りにも伝えてください
「オストメイト」の問題は、がんサバイバーが抱える困難のほんの一例です。 久田邦博の研修・講演では、こうした「当事者しか知らない“本音”」を具体的にお伝えし、医療従事者や一般の方が「無意識の加害者」にならないための啓発活動を行っています。
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