【講演録】社会福祉士へ贈る「死ぬことと生ききること」。がんサバイバーが語る、究極の幸せとは
対人援助のプロである社会福祉士の皆様へ。
日々、クライアントの「生活」と「人生」に寄り添う中で、
**「生きるとは何か?」「幸せとは何か?」**という根源的な問いに直面することはありませんか?
岐阜県社会福祉士会・東農支部研修会にて、講師として登壇いたしました。
テーマは、「がんと自分 死ぬことと生ききること」。
薬剤師であり、慢性骨髄性白血病の当事者(サバイバー)でもある私が、
死と向き合う中で見つけた「生ききる」ための哲学をお話ししました。
1. 人間の究極の幸せは4つある
講演の冒頭で、日本理化学工業の大山泰弘会長の言葉を引用し、
**「人間の究極の幸せ」**について問いかけました。
人に愛されること
人に褒められること
人の役に立つこと
人から必要とされること
私はがんになり、「社会のお荷物になった」と絶望した時期がありました。
しかし、研修講師として「人の役に立ち、必要とされる」ことで、再び生きる力を取り戻しました。
福祉の現場でも、利用者さんがこの「4つの幸せ」を感じられるような支援ができているか、
今一度問い直してみてください。
2. 選択理論心理学で読み解く「患者の欲求」
人はなぜ行動するのか?
そのメカニズムを「選択理論心理学(ウィリアム・グラッサー博士)」の5つの基本的欲求を用いて解説しました。
生存の欲求: 生きていたい
愛・所属の欲求: 誰かと繋がりたい、愛されたい
力の欲求: 認められたい、役に立ちたい
自由の欲求: 自分で決めたい
楽しみの欲求: 学びたい、遊びたい
がん告知を受けると、これらの欲求が脅かされます。
特に「力の欲求(役割の喪失)」や「愛・所属の欲求(孤独)」が満たされないことが、
深いスピリチュアルペインを生みます。
支援者は、どの欲求が満たされていないのかを見極め、それを満たす手助けをすることが重要です。
「死ぬこと」を意識して、「生ききる」
私たちはいつか必ず死にます。
しかし、死ぬまでは生きています。
「死」をタブー視するのではなく、限りある命をどう使い切るか(生ききるか)。
その視点を持つことで、支援者自身の人生も、クライアントへの関わり方も、
より豊かで力強いものになるはずです。
社会福祉士の皆様の熱心な姿勢に、地域の福祉を支える頼もしさを感じました。
しあわせです感謝
「支援者」自身の心を整える研修を
燃え尽き(バーンアウト)しやすい対人援助職の方々にこそ、
「生きがい」や「幸せ」について考える時間が必要です。
知識だけでなく、支援者の心にエネルギーを充填するような講演・研修を企画しませんか?



