なぜ、がんサバイバー講演は「お涙頂戴」ではダメなのか? 講師・久田邦博の持論と原点

「がんサバイバーの講演」と聞くと、どのような内容を想像しますか? 「闘病記」や「感動的なお涙頂戴のストーリー」でしょうか。

私は、白血病を発症してから21年間で800回を超える講演活動を行ってきましたが、

そうした「お涙頂戴」の講演が、逆に「生き辛い社会」を促進しているのではないかと強い疑問を持っています。

この記事では、私がなぜ「がんサバイバー講演」に対して独自の「持論」を持つに至ったのか、

その原点となる21年間の経験と、講師として本当に伝えたいことについてお話しします。

 

1. 講演活動の原点:製薬会社と「顧客満足度」

 

私の講演活動は、白血病になって2年目の2003年から始まりました。

きっかけは、製薬会社勤務時代、営業担当が医療職団体から「製品説明以外で60分講演して欲しい」という無茶な依頼を受け、研修担当だった私に振ってきたことでした。

そこで、営業時代にずっと勉強してきた「顧客満足度理論」について講演しました。

すると、一人の方が近寄ってきて、「この内容を少し変えると接遇研修になる。

今度頼むから準備しておいて」と告げられたのです。

これが、私の「医療接遇研修」の始まりです。

奇跡的に目の前に医療接遇インストラクターが登場し、指導を受けることにもなりました。

 

2. 「マナー研修」への違和感と「患者心理」への決断

 

スライドが出来た時、テストとして以前担当していた病院の薬剤部に研修を持ちかけました。

数名で試す予定が、薬剤部長がその場で院長に電話し、「久田君が戻ってきた。接遇研修ができる」と伝え、

病院が300名のホールを準備するという、とんでもないデビュー戦になりました。

デビュー戦は、まだエチケットやマナーを話していましたが、

患者(私)が求めているものとの強い違和感を感じていました。

その情報が本社の耳に入り、他施設からも要望が来るようになりましたが、

違和感を持ったまま活動するのが嫌で、高額な講師養成講座も受けずに「その仕事は受けられない」と

一度はお断りしました。(結果、本社予算で受講することになりましたが)

こうして、職務ではない社外講演を断れなくなり、支店長からは「社内研修が本業だ。ほどほどにしろ」と叱られ、

本社からは次々と依頼が来るという2重支配状態に陥りました。

その研修を受講し、私は決断をしました。

**「がんであることを公表し、『患者の想い』をストレートに伝えてみよう」**と。

 

3. 「サバイバーシップ」で医師たちを泣かせた日

 

当時、患者として思いを語る方はいましたが、「プレゼンテーションスキル」を身につけ、

「想い」と「具体的な対応方法」をセットで話せる存在は稀でした。

これが噂を呼び、全国に呼ばれるようになりました。

次なる転機は2010年です。所属企業ががん領域に進出し、

サバイバーである私が「がん」の研修を担当することになりました。

ここで初めて本格的にがんを学び、ピアサポーターにもなり、他のサバイバーの想いを知りました。

ある時、がん専門の医療従事者の研修会に、製薬企業の立場で招待されました。

私のグループが「サバイバーシップ」というテーマになり、私の素性を知る担当者からスピーチを依頼されました。

通訳も入るため実質10分ほど、私の「死生観」や「生き方」について語りました。

終わって周りを見渡すと、海外の方も含め、会場内の医師、看護師、薬剤師が皆、涙を流していました。

そして、ある医師が「これからもっと患者さんの話に耳を傾けます」と言ってくれたのです。

彼らは「がん」のエキスパートでも、「がん患者の生き方」は詳しくない。

私は、自分自身の活動の重要性を確信し、プレゼンテーションに自信がみなぎるようになりました。

 

4. 私の持論:「がんを恐れさせて何が得られる?」

 

がんになって最初は落ち込んでいましたが、「死ぬまでは生きている」と気づき、

全力で生きてきました。

治療選択時に「10年生きる」と決めたその10年目(2011年)、“死”を覚悟する事件が起きました。

そこで学んだのは、自分らしくやりたいことを実現していれば、満足した「死」を迎えられるということでした。

幸い私は生かされました。この体験を伝えるために活動しています。

だからこそ、私は「がんサバイバー講演」に持論を持っています。

世の中の「がん教育」は、時に患者や社会を追い詰めていないでしょうか?

  • がん教育に前のめりになって、自分自身を見失っていませんか?

  • 「感動の話」として、お涙頂戴になっていませんか?

  • (がんへの過度な恐怖を煽ることで)それが「生き辛い社会」を促進していると理解していますか?

  • がんサバイバーとして、私たちが「何を望んでいるか」を本当に把握していますか?

がんを過度に恐れて生きて、一体何が得られるというのでしょうか。

私は、「がんになっても、自分らしく生きられる社会」を実現するために、

これからも「患者の本音」と「具体的な生き方」を伝え続けます。

 

この「持論」に共感してくださった研修担当者様へ

「お涙頂戴」や「知識の押し付け」で終わる研修では、現場の行動は変わりません。

私の講演・研修は、21年間の当事者経験と800回以上のフィードバックで磨き上げた「本物のノウハウ」です。

医師や看護師の心を動かし、明日からの行動を変える「生きた研修」をお約束します。

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P.S. 私の活動や「患者の本音」については、YouTube「がんサバイバー・ナビ【クニ坊チャンネル】」でも発信しています。ぜひチャンネル登録をお願いします。

がんサバイバー・ナビ【クニ坊チャンネル】
https://www.youtube.com/@user-fz7iw2sb5t

 

 

 
 

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