【研修録】ケアマネジャーが「利用者の本音」を聞き出せない理由。がんサバイバーが語るACP(人生会議)と傾聴の技術
ケアマネジャーの皆様、利用者さんの「本当の気持ち」を聞けていますか?
「プラン作成のために情報を聞かなきゃ」と焦るあまり、
相手の心を置いてけぼりにしていないでしょうか。
三重県介護支援専門員協会・桑員支部主催の研修会に登壇いたしました。
テーマは、「命に限りがあると気づいた時 ~人生会議(ACP)をしよう~」。
がんサバイバーとして「死」と向き合った経験と、コミュニケーションの専門家としての理論を交え、
ケアマネジャーに求められる「対話の技術」についてお話ししました。
1. なぜ、利用者との会話がすれ違うのか?
「伝えたはずなのに伝わっていない」「話が噛み合わない」 その原因を、
コミュニケーション・モデルを使って解説しました。
人は情報を発信する際、無意識に**「省略・一般化・歪曲」**を行います。
利用者さんが言う「大丈夫です」という一言の中には、語られていない「不安」や「我慢」が隠されています(省略)。
ケアマネジャーの役割は、表面的な言葉を鵜呑みにせず、
「質問」によって省略された情報を復元し、相手の「真意」に近づくことです。
2. ACPは「死に支度」ではなく「欲求を満たす」作業
人生会議(ACP)が進まない理由は、それを「死ぬ準備」だと捉えているからです。
私は**「選択理論心理学(5つの基本的欲求)」**を用いて、ACPを再定義しました。
愛・所属の欲求: 誰と過ごしたいか?
自由の欲求: 最期まで自分で決めたいことは何か?
楽しみの欲求: 何をしている時が幸せか?
これらを満たすために話し合うことが、本当の人生会議です。
「どう死ぬか」ではなく「どう生きたいか」を聴く。
そう考えれば、ACPはもっと前向きで温かい対話になります。
3. 受講者(ケアマネジャー)の声
研修後のアンケートでは、多くの気づきの声をいただきました。
「利用者さんに寄り添えていないと感じていたが、今日から『聴く(受け止める)』姿勢を心がけたい」
「ACPを難しく考えすぎていた。生きるために大切なことを話し合う場だと分かった」
「がん当事者の思いを聞けて、やはり傾聴を望んでいるんだと改めて感じた」
制度改正や事務作業に追われがちなケアマネジャー業務ですが、
原点である「人への寄り添い」を思い出す時間となったようです。
しあわせです感謝
ケアマネジャーの「対話力」と「モチベーション」を高める研修
「制度の話ばかりで、支援者としての心が疲弊している」 そんなケアマネジャーの方々に、
当事者の声と心理学に基づいた「対人援助の楽しさ」を再確認できる研修をお届けします。
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