【医学・看護・薬学部】がんサバイバー講師が伝える「60:20:20」の黄金比と、医療者が陥るバイアスの罠
【医学・看護・薬学部】がんサバイバー講師が伝える「60:20:20」の黄金比と、医療者が陥るバイアスの罠



私の場合、登壇するシーズンは学部によって異なります。
夏は医学部や看護学部、そして秋冬は薬学部の学生たちへ。
季節は巡りますが、未来の医療従事者を育てる情熱は一年中変わりません。
今回は、私が普段の講義で話している**「構成の黄金比」と、最も伝えたい「バイアス(思い込み)」**の
話を共有します。
講義構成の黄金比「60:20:20」
私が大学講義を行う際、基本的には以下の構成でお話ししています。
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60%:がん告知後の「魔の2週間」で起きたこと
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最も時間を割くのはここです。医療者が一番目にしにくく、患者が一番苦しむ「空白の時間」を追体験してもらいます。
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20%:復活のプロセス
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絶望からどうやって前を向いたのか。レジリエンス(回復力)の実例です。
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20%:経験者から医療者に伝えたいこと
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「してほしかったこと」「やめてほしかったこと」などの具体的な提言です。
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その「患者イメージ」、本物ですか?
今回の講義では、学生に事前質問に加え、あるアンケートを取りました。
「あなたが抱いている、がん患者に対するイメージは?」
講義後、このイメージがどう変化するかが楽しみの一つです。
私が伝えたいのは、「全てのがんサバイバーが私のように活動的で前向きなわけではない」ということです。
十人十色。いろいろな方がいます。
医療現場に潜む「アンコンシャスバイアス」のリスク
なぜ「多様性」を強調するのか。
それは、医療従事者が勝手に描いた「がん患者とはこうあるべき」「こう感じているはずだ」
というイメージの世界で対応してしまうことのリスクを知ってほしいからです。
下手をすると、患者を**「医療者の思い込みの世界(ステレオタイプ)」に閉じ込めてしまうかもしれません。
これこそが、医療現場におけるアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)**です。
特別な「患者」ではなく、一人の「ひと」として
私は普段、医療者、介護者、行政、学生など多様な方とお付き合いしていますが、
「患者だから」といって対応を変えることはありません。
みんな対等な一人の**「ひと」**として接しています。
ただし、注意が必要なタイミングはあります。
それは「告知直後」や「再発直後」など、心が大きく揺れ動いている時です。
でもこれも、特別なことではありません。
誰だって失敗した直後や、失恋した直後は同じように落ち込みますよね?
「がん患者」というラベルを貼る前に、同じ人間として、その痛みに寄り添ってください。
自分の持っているイメージを常に再考(アップデート)し続けること。
それがプロの医療者の第一歩です。
3時間と30分。尺に合わせた「伝え方の技術」
現在、同時に医学部の講義資料も作成中です。
今回の看護学部はグループワークも含めてたっぷり3時間。
対して、医学部は凝縮した90分です。
3時間なら対話を通して深められますが、30分なら本当に伝えたいエッセンスを研ぎ澄ませる必要があります。
持ち時間が短くなる分、言葉を削ぎ落とし、核心を絞り込む作業を楽しんでいます。
どの学部の学生にも、心に残る種を蒔いてきます。
しあわせです💖感謝
【大学・専門学校のカリキュラム担当者様へ】
「患者=弱い存在」というステレオタイプを、学生のうちに打破しませんか?
90分の講義から、3時間のワークショップ、30分の特別講演まで。 時間枠と学部の特性(医・薬・看)に合わせた最適な構成で、アンコンシャスバイアスに気づきを与える講義を行います。


