「楽しそうな表情」を引き出す。レゴ®シリアスプレイ®を若年性認知症交流会で活用した事例

「認知症の家族が、交流会でうまく話せず孤立してしまう」 「当事者の方が早く帰りたがり、支援者として無力感を覚える」
そんな悩みを抱える認知症カフェやご家族の会は少なくありません。 言葉で「思い」を表出するのが難しくなった時、**「手で考える」手法であるレゴ®シリアスプレイ®(LSP)**が、その壁を越えるかもしれません。
この記事では、LSP認定ファシリテーターである私が、若年性認知症の交流会でLSPを試験的に導入し、驚くべき変化が生まれた「実践事例」をレポートします。
レゴ®シリアスプレイ(LSP)とは?
LEGO® SERIOUS PLAY(LSP)メソッドとは、レゴブロックを使い「手で考える」ことで、言葉にしにくい「内なる思い」や「複雑なアイデア」を立体的に表現する、デンマークで開発されたファシリテーション手法です。
私は、LSPメソッドと教材活用トレーニングを終了した「認定ファシリテーター」です。
【事例】若年性認知症「あゆみの会」での挑戦
今回、若年性認知症本人家族交流会「あゆみの会」にて、このLSPにチャレンジしました。
若年性認知症は、様々なタイプの認知症が混在し、かつ症状も一人ひとり異なります。そのため、まずは当事者の方の可能性を探る目的で、試験的に「タワー作成」というシンプルなワークのみを行い、その様子を観察することにしました。
会場の一角にテーブルを設置し、関心がある方に集まっていただく形式です。
見えてきた「驚きの変化」と「可能性」
テーブルに集まって来たのは、まさに「家族に連れられて来た」感じで、他の方とうまくコミュニケーションが取れずにいた当事者3名と、ご家族2名でした。
当事者2名は、タワー作成のワークを始めると、黙々と、しかし集中してブロックを組み立て始めました。(15分以上掛かりました)
また、1名は自ら作ることは出来ませんでしたが、**他の方が作った作品を、すべて正確に「複製(コピー)」**されたのです。これには驚きました。次回は少し難度の高い作品例を示し、チャレンジしていただく予定です。
何よりの変化は、その**「表情」**です。 普段とは異なり、**ブロックを手に取り、夢中になっている「楽しそうな表情」**は、周りのご家族や他の当事者にも伝わり、強い関心を集めました。サポートメンバーのミーティングでも、このポジティブな変化が大きく取り上げられました。
なぜLSPは認知症ケアに有効なのか?
認知症の方は、言葉で「自分の思い」を正確に表現することが難しくなることがあります。LSPは、その**「言葉の壁」を取り払い、「手で考える(=作る)」**という別のルートで、ご自身の内面を表出することを可能にします。
今回の手応えから、これを継続して実施することで、「認知症カフェ」や「交流会」の運営に役立つ、新しい支援の形が見えてきました。
その先には、当事者の方がご自身の思いを表出できるようになり、ご家族や支援者と「思い」をシェアしやすくなる。その結果、**「自分らしく生きる」**ことに繋がるのではないかと、大きな可能性を感じています。
あなたの「認知症カフェ」「交流会」にも「レゴ」を取り入れませんか?
「当事者の方が楽しそうじゃない…」 「いつも同じ会話で、マンネリ化している…」
そんな「行き詰まり」を、レゴ®シリアスプレイ®(LSP)が解決するかもしれません。 LSP認定ファシリテーターの久田邦博が、皆様の交流会や施設に出張し、当事者の方の「笑顔」と「内なる思い」を引き出すワークショップ体験会を実施します。


