会議がうまくいく!はじめてのファシリテーション入門』

会議がうまくいく!はじめてのファリシテーション入門

静まり返る会議、もう終わりにしませんか?

「何か意見はありますか?」という問いかけに、誰もが下を向いて沈黙…。

一部の人の声だけが響き、他の人はただ頷くだけ。

議論が堂々巡りしたあげく、結局何も決まらないまま時間切れ。

こうした会議の悩み、あなたも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

「意見を言ったら否定されそうで怖い」「どうせ言っても無駄だ」

そんな空気が、チームの可能性を閉ざしてしまっているのかもしれません。

もし、参加者全員が安心して本音を語り、

みんなが「よし、やろう!」と心から納得して行動できる会議に変える

「魔法のようなスキル」があるとしたら、知りたくありませんか?

それが**「ファシリテーション」**です。

このガイドを読めば、その基本がわかり、

あなたの会議を劇的に変える第一歩を踏み出せます。さあ、一緒に新しい扉を開きましょう。

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1. ファシリテーションって、そもそも何?

ファシリテーションの究極の目的は、単に会議をスムーズに進めることではありません。

その本質は、**「ミーティングを活性化し、スタッフの本音を引き出し 全員納得で取り組めるようになる」**

ことにあります。

このゴールを達成するために、会議を2つの側面から見てみましょう。

マネジメントとは?

これは会議の「管理」の側面です。「時間通りに結論を出す」といった、

スケジュールやタスクをきっちり管理する役割を指します。

多くの人が「会議の進行」と聞いてイメージするのは、この部分かもしれません。

プロセスとは?

こちらがファシリテーションの心臓部です。

参加者から多様な意見を引き出し(発散)、

時には意見がぶつかり合い(対立)、

一見すると混沌とした状態(カオス)になります。

しかし、このプロセスを経ることで、最終的に参加者全員の深い「納得感」が生まれるのです。

【最重要ポイント】なぜ「発散・対立・カオス」のプロセスが不可欠なのか?

一見すると大変そうで、誰しも「めんどくさいから避けたい」と感じるこのプロセス。

しかし、これこそがチームを本当に動かすための鍵となります。

なぜなら、このプロセスを省略してしまうと、

参加者はその場で「わかりました」と言っても、心の中では納得していないからです。

「後から言う人っていらっしゃるじゃないですか。

『こんなのやったってさ、うまくいくわけないよね』とか。」

会議の場で言えなかった不満や不安は、後になって

「やっぱりやらない」「協力しない」

という形でプロジェクトを蝕んでいきます。

「発散・対立・カオス」のプロセスは、隠れた反対意見や懸念という“沼”の水を、

事前にすべて抜き切るための戦略的なツールなのです。

これにより、チーム全員が本当に納得して前に進むことができます。

では、この大切な「プロセス」をうまく導くためには、具体的にどんなスキルが必要なのでしょうか?

4つの基本スキルを見ていきましょう。

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2. ファシリテーターの「4つの基本スキル」

優れたファシリテーターは、特別な才能を持っているわけではありません。

彼らは状況に応じて使い分けることができる「道具箱」を持っています。

その道具箱の中身が、これから紹介する4つの基本スキルです。

これらは一見すると別々のスキルのようですが、実際の会議では複合的に使うことが求められます。

だからこそ難しく、そして使いこなせると非常に強力なのです。

一つひとつ身につけることで、誰でも会議をうまく進められるようになります。

スキル名

ひと言でいうと?

主な役割

1. 場作りのスキル

「安心して話せる空気」を作ること

会議の土台を固める

2. 対人関係のスキル

「すべての意見」を大切に扱うこと

参加者の心を開く

3. 構造化のスキル

「話の流れ」を整理し、見える化すること

議論の迷子を防ぐ

4. 合意形成のスキル

「よし、やろう!」という納得の着地点を見つけること

チームを一つにまとめる

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2.1.【スキル1】場作りのスキル:安心して話せる「安全基地」を作る

このスキルの目的は、参加者全員に「ここでは何を言っても大丈夫だ」という安心感、

すなわち心理的安全性を感じてもらうことです。

人は不安を感じると、

本能的に「危険を探そうとする脳のスイッチ」が入ってしまい、

自由な発想ができなくなります。

このスイッチを切り、安心して本音を話せる「安全基地」を作ることが、

ファシリテーターの最初の仕事です。

▼ 場作りのための具体的テクニック

ゴールを共有する

会議の冒頭で「今日の会議の目的は何か」「終了時にどうなっていたら成功か」を全員で確認します。

なぜ重要か?: これにより、参加者全員が同じ目的地を目指すことになり、話が脱線するのを防ぎます。

 

グラウンドルールを提示する

「人の話は最後まで聞く」「どんな意見も、まずは肯定的に受け止める」「反論ではなく質問する」といった、話し合いの基本ルールを事前に示します。

なぜ重要か?:

ルールがあることで、参加者は「こんなことを言ったら否定されるかも」という不安なく、

安心して発言できるようになります。

役割を決める

参加者が5人以上いる場合、「司会」「記録」「時間管理」などの役割を分担します。

なぜ重要か?:

心理学的に、人は5人以上の集団になると「自分がやらなくても誰かがやるだろう」という

「社会的怠惰(ソーシャル・ローフィング)」が起こりやすくなります。

役割を明確にすることで、全員の参加を促し、議論の停滞を防ぎます。

 

2.2.【スキル2】対人関係のスキル:「あなた」の意見を聴かせて

このスキルの目的は、ファシリテーターが「中立な審判」のように振る舞い、

すべての意見を平等に、そして敬意をもって扱うことです。

「リーダーがどっちかに着いた瞬間もおしまいです。」

ファシリテーターが特定の意見に肩入れした途端、他の人は「自分の意見は歓迎されないんだ」と感じ、

口を閉ざしてしまいます。中立性を保ち、全員の意見を引き出すことが求められます。

 

▼ 対人関係スキルにおける重要なアクション

うなずき、あいづちで「聴いている」ことを示す

発言者の目を見て、うなずきや「なるほど」「そうなんですね」といったあいづちを返すことで、

「あなたの話を真剣に聴いていますよ」というメッセージを伝えます。

この傾聴の姿勢が、相手のさらなる発言を促します。

発言の少ない人に話を振る

会議が一部の活発な人だけで進まないように、

「〇〇さんは、この点についてどう思いますか?」と、

静かにしている人にも優しく問いかけます。

全員が議論に参加できるよう配慮することが大切です。

質問で深掘りする

ファシリテーターはアドバイスや指示をするのではなく、

質問を投げかけるのが役割です。

「どうしてそう思うのですか?」「もう少し具体的に教えていただけますか?」

といった質問を通じて、発言の背景にある意図や考えを深く引き出します。

2.3.【スキル3】構造化のスキル:議論の「地図」を描く

たくさんの意見が出てくると、議論は複雑になりがちです。

このスキルの目的は、出てきた意見を整理し、ホワイトボードや模造紙に書き出して「見える化」すること。

これにより、参加者全員が「今、議論はどこにいるのか」という現在地を共有できる

地図」を手に入れることができます。

同じ話を何度も繰り返す「堂々巡り」を防ぐのに非常に効果的です。

▼ 構造化のための代表的なツール

大きな紙で見える化する

なぜA4用紙ではなく、模造紙のような大きな紙が有効なのでしょうか?

それは、大きな紙をテーブルの真ん中に置くことで、みんなの意識が自然と紙の中心に集まり、

チームとしての一体感が生まれるからです。

小さな紙では、記録係だけが作業する形になりがちです。

付箋で意見を出しやすくする

なかなか意見が出ない時や、特定の人ばかりが発言する時に有効なのが付箋です。

まず各々が付箋に意見を書き出すことで、

声の大きい人に左右されることなく、全員の意見をフラットに集めることができます。

 

2.4.【スキル4】合意形成のスキル:みんなで「よし、やろう!」へ

活発な議論(発散)が行われた後、それを一つの結論へとまとめていく(収束)のが、

このスキルの役割です。

チーム全員が「これならできそうだ」「やってみよう」と納得できるゴールへ導きます。

 

▼ 意見が対立した時に使えるテクニック

上位目標に立ち返る

議論が紛糾してしまった時、

「そもそも、私たちは何のためにこの話し合いをしているんだっけ?」と問いかけ、

チーム共通のより大きな目標(上位目標)を思い出してもらいます。

なぜ有効か?:

個々の意見の対立でヒートアップした状態から、一度クールダウンさせる効果があります。

さらに、同じ目的に向かう「仲間」であることを再認識させ、対立から協調へと意識を転換させるきっかけになります。

全員が実行可能なレベルに調整する

一人のスーパースターが達成した高度なやり方を目標にするのではなく、

「このメンバー全員が、明日から実行できることは何か?」という視点で着地点を探します。

なぜ重要か?:

組織は意欲的な上位2割、平均的な6割、慎重な下位2割で構成される

「2:6:2の法則」で成り立つと言われます。

組織に本当に変化を起こすのは、大多数を占める真ん中の6割の人々です。

彼らが「これならできる」と感じるレベルに目標を調整することで、

初めて組織全体が動き出すのです。

これらの4つのスキルは、会議をより良いものにするための強力な武器です。

最後に、明日からできる小さな一歩についてお伝えします。

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3. 結論:まずは小さな一歩から

ファシリテーションは、生まれ持った特別な才能ではありません。

練習すれば誰でも上達する**「スキル」**です。

ここまで読んで、「やることが多くて難しそう…」と感じたかもしれませんが、

心配ありません。いきなり全部を完璧にやろうとしなくて大丈夫です。

大切なのは、まずは小さな一歩を踏み出してみること。

次回の会議では、発言の少ない人に一度だけ「どう思いますか?」と話を振ってみる。

会議が始まる前に、「今日の目的は〇〇です」と一言で確認してみる。

たったこれだけでも、会議の空気は少しずつ変わっていくはずです。

失敗を恐れず、試行錯誤を繰り返す中で、あなたのファシリテーションスキルは確実に磨かれていきます。

このガイドが、あなたがより良いチームを作り、

会議を実りあるものにするための助けとなることを心から願っています。

応援しています!

あなたのチームに「ファシリテーション」の力を

記事でご紹介したスキルは、本を読むだけではなかなか身につきません。

実際の会議で使えるレベルにするためには、プロによる指導と実践練習が一番の近道です。

「会議の生産性を上げたい」「リーダー層のファシリテーション力を鍛えたい」とお考えの企業様・団体様へ。

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