【研修報告】在宅医療で「一歩踏み込む」ために。薬剤師が陥る「対物」の罠と、がんサバイバーが求める「対話」の正体(茨城県薬剤師会)
【研修報告】在宅医療で「一歩踏み込む」ために。
薬剤師が陥る「対物」の罠と、がんサバイバーが求める「対話」の正体
令和7年12月19日、公益社団法人茨城県薬剤師会様主催の「薬局薬剤師のための一歩踏み込む在宅医療研修会」に登壇いたしました。
テーマは、『患者の立場から薬局薬剤師に伝えたいこと』。
270名を超える薬剤師の皆様にご参加いただき、オンライン(Zoomウェビナー)でありながら、画面越しに熱気が伝わる濃密な2時間となりました。
調剤報酬改定により「在宅」へのシフトが求められる中、現場の薬剤師が抱える**「服薬指導だけでは通用しない」**という葛藤と、その突破口について共有します。
1. 現場の薬剤師が抱える「3つの壁」
今回の研修にあたり、事前に多くの質問をいただきました。
そこから見えてきたのは、教科書には載っていない「人間関係の壁」です。
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① 医師・看護師との板挟み
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「医師の指示と、家族の希望(鎮静を使いたくない等)が違う時、どう答えればいい?」
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② 拒絶とハラスメント
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「『殺すぞ』といった暴言を吐かれる」「玄関先で対応が終わってしまう」
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③ ターミナルケアの言葉選び
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「末期がんの患者さんに、どう声をかけていいか分からない」
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これらの悩みに対し、私は「がんサバイバー」と「薬剤師」の両方の視点からお答えしました。
2. テクニカルスキルから「ノンテクニカルスキル」へ
研修で強調したのは、薬学的知見(テクニカルスキル)の前に、
**「人として信頼される土台(ノンテクニカルスキル)」**が必要だということです。
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DiSC理論の活用:
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相手が「主導型(D)」なのか「慎重型(C)」なのか。
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タイプに合わせたコミュニケーションを取ることで、苦手意識は驚くほど減ります。
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「聴き切る」傾聴:
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アンケートでも最も反響が大きかったのがこれです。途中で遮らず、判断せず、最後まで聴く。
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それだけで患者さんの「孤独」は癒やされます。
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アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み):
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「高齢だから」「がん患者だから」という思い込みを捨てることから、本当の対話が始まります。
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3. 受講者の声:「我流の限界」を超えて
研修後のアンケートでは、明日からの行動変容を誓う熱い感想を多数いただきました。
「在宅の在り方について、これまで我流でやってきました。
対人スキルや多職種への発信など、非常に参考になりました」「『人の話を聴き切る』という言葉が心に刺さりました。明日から実践します」
「普段、抗がん剤治療の患者様へ一歩踏み込めない気持ちがありましたが、
寄り添うことの重要性を再認識しました」
4. 理解する人が、理解される
スティーブン・R・コヴィー博士の言葉に**「理解してから理解される」**とあります。
これは在宅医療の鉄則です。
こちらの服薬指導を理解してもらう前に、まず患者さんの生活、苦しみ、価値観を理解すること。
それができた時、薬剤師は単なる「薬を運ぶ人」から、**「人生に寄り添うパートナー」**へと変わります。
茨城県薬剤師会の皆様、熱心なご受講、本当にありがとうございました。
しあわせです💖感謝
「薬は完璧でも、患者対応がうまくいかない」とお悩みではありませんか?
在宅医療の現場では、薬の知識以上に「人間力」が問われます。
現場のリアルな悩み(暴言対応、多職種連携、看取り)に対し、
サバイバー視点の「答え」と「マインドセット」を提示する研修です。全国各地の薬剤師会、薬局チェーン様での実績多数。オンライン対応も可能です。

