AIに仕事は奪われる? がんサバイバー講師が語る「AIに勝る薬剤師」の条件

「AIの進化で、薬剤師の仕事はなくなるのでは?」 「専門知識でAIに勝てないなら、私たちの価値はどこにあるのか?」
まもなく普及するAI薬剤師を前に、特に新規採用薬剤師の皆さんは、そんな不安を抱えているかもしれません。
私は「がんサバイバー」として、そして「研修講師」として、20年以上医療現場を見てきた立場から断言します。
AIには、決して代替できない「人間の薬剤師」の重要な役割があります。
この記事では、「患者視点」から見て、なぜAIでは不十分なのか、そしてAI時代に薬剤師が本当に磨くべきスキルは何かを解説します。
AIが薬剤師を超える「専門知識」
(本文) まず、認めなければならない事実として、「専門知識」の記憶量や正確性、最新情報のアップデートスピードにおいて、私たちはAIに敵いません。 膨大な論文データを瞬時に検索し、禁忌や相互作用を完璧にチェックする能力は、AIの圧勝でしょう。
しかし、患者は「正しい知識」だけで救われるわけではありません。
AIには絶対に真似できない「患者視点の3つの壁」
AIやアンドロイドには、知識では補えない「人間の患者」に対応するための決定的な欠点があります。
1. エンパシー(共感)の壁
AIは副作用の「発生確率(データ)」は説明できても、患者がその副作用(例:脱毛、吐き気)にどれほど「恐怖」し、生活がどう変わるかという「絶望感」には共感できません。
私自身、がんサバイバーとして、薬の副作用に対する計り知れない不安を経験しました。その時、アンドロイドから「発生率は15%です」とロジカルに説明されても、心は救われないのです。 「大丈夫ですよ」「つらいですね」という、人間(薬剤師)の体温がこもった共感の一言が、どれほど患者を支えるか。AIにはこの「心のケア」は不可能です。
2. 複雑な問題(個別の文脈)の壁
AIは「標準的な回答」はできても、患者さんの「個別の文脈(家族構成、仕事、経済状況、性格)」を汲み取った最適な対応はできません。
「この方はいつも急いでいる(DiSC®のDタイプ)から、結論から簡潔に伝えよう」 「この方は不安が強い(Sタイプ)から、まず安心できる言葉をかけよう」
こういった**「相手の背景や状況に合わせた柔軟な対応」**は、生身の人間(薬剤師)にしかできません。AIは「患者さん」を一律のデータとして見ますが、人間は「Aさん」という固有の個人として見ることができます。
3. 人間らしさ(安心感)の壁
(本文) AIは「安心感」を提供できません。 患者にとって薬剤師は、薬をもらう相手であると同時に、**「医療者の中で一番話しやすい、不安を吐き出せる相手」**でもあります。
アンドロイドの完璧で冷たい説明よりも、人間味のある薬剤師の「いつも通り」の笑顔や、「最近、体調どうですか?」という何気ない雑談が、患者に「この薬局に来てよかった」という心理的な安心感と信頼感を与えます。
結論:AI時代に薬剤師が磨くべき唯一のスキル
これらの欠点を考慮すれば、答えは明確です。 AIには「知識(データ処理)」を任せれば良いのです。
私たち人間の薬剤師は、AIには絶対に真似できない**「患者の感情に共感し、個別の文脈を読み解き、安心感を与える」**という、高度なコミュニケーションスキルを磨くべきです。
スキル定着には時間が必要です。さぁ、今から!
AIに勝る「選ばれる薬剤師」のスキル、身につけませんか?
記事で解説した、AIには真似できない「患者さんの個別の文脈」を読み解き、「共感」と「安心感」を与える具体的なコミュニケーション技術(DiSC®理論や傾聴スキル)は、研修で体系的に学ぶことができます。
「AIに代替されない、人間としての価値」を本気で高めたい薬剤師・薬局経営者の方は、ぜひご相談ください。


