ACPは「死ぬ準備」ではない。がんサバイバー薬剤師が語る、最期まで「幸せ」を感じるための地域ケア連携

「がんになったら、人生は終わりだ」 そう思っている方は少なくありません。

しかし、現実は違います。

愛媛県薬剤師会・愛媛県病院薬剤師会主催の「地域ケア連携WEB講演会」に登壇いたしました。

テーマは、「いのちに限りがあると気づいた時 ~何が起きて、何をすればよいか~」

全国から多くの医療従事者や一般の方にご視聴いただきました。

がん告知から19年。絶望を乗り越え、「しあわせです感謝」と言えるようになった私が、

ACP(人生会議)や地域連携について語った内容をレポートします。

 


1. がん患者の心理と「スピリチュアルペイン」

がん告知を受けた時、患者の心には「なぜ僕が…」「一体何をしたんだろう」

という強烈な問い(スピリチュアルペイン)が生まれます

 

また、社会的な役割(ライフロール)も激変します。

「父親」「大黒柱」「会社員」といった役割が消え、「患者」という役割だけが肥大化してしまうのです

 
 

しかし、私は19年間の闘病生活の中で、「生きる目的」を再設定しました

社会のお荷物」だと感じていたセルフイメージを、

「社会に役立つレアな存在(研修講師)」へと書き換えることで、生きる力を取り戻したのです

 
 

2. ACP(人生会議)は「究極の幸せ」を守るためにある

 ACP(アドバンス・ケア・プランニング)は、単なる延命治療の確認ではありません。

**「その人が最期まで、人間としての尊厳と幸せを感じられるようにすること」**です。

講演では、日本理化学工業の大山泰弘会長の言葉を借りて、**「人間の究極の幸せは4つある」**とお伝えしました

 
人に愛されること
人に褒められること
人の役に立つこと
人から必要とされること

病気になっても、この4つを感じられる環境を作ること。

それが本当のACPであり、私たちが目指すべきゴールです。

 

3. 地域ケア連携:薬剤師に求められること

がん患者さんを支えるためには、病院だけでなく、地域全体での連携が不可欠です。

特に薬剤師の皆様には、**「対物(薬の管理)」から「対人(心のケア・生き方の支援)」**

へのシフトをお願いしました。

患者さんの「5つの基本的欲求(生存・愛・力・自由・楽しみ)」のどこが満たされていないのか

それを見抜き、薬局という地域の拠点でサポートすること。

 

それができる薬剤師こそが、これからの地域医療のキーマンとなります。

しあわせです感謝

 

この講演の内容が、一冊の本になりました

講演でお話しした「後悔しない生き方」や「死生観」については、

著書『死ぬまでに読んでおけ』でさらに詳しく綴っています。

 

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