【講演録】満足した生き方は、満足した逝き方に繋がる。ホスピス・在宅ケア研究会で語った「死生観」
第27回 日本ホスピス・在宅ケア研究会 全国大会(福井)に登壇いたしました。
テーマは、「生き方はいつも自分が決めている」。
ホスピスや在宅ケアの現場では、日々「死」と向き合うことになります。
しかし、死を意識するからこそ、「どう生きるか」が輝き出します。
白血病サバイバーとして、死の恐怖を乗り越え、独自の死生観に辿り着いた私の経験を、
全国の専門職の皆様にお話ししました。
1. 「鳥かご」から飛び出した日
白血病が見つかった頃、私は死を恐れ、鳥かごに収まったかのように大人しく日々を消化していました。
大好きだった「はしゃぐ自分」はどこにもいませんでした。
しかし、あるきっかけで気づきました。
**「人間は誰しも、生まれた瞬間から死に向かってカウントダウンしている」**と。
なのに、なぜ私だけがくよくよしているのか? 自分らしく生きていないのなら、
それは生きているうちから死んでいるのと同じではないか?
そう気づいた時、私は決めました。
**「死ぬ瞬間までは、思い切り生きてやろう」**と。
2. 「人生の満足度」の方程式
私が考える人生の満足度は、以下の掛け算で決まります。
人生の満足度 = 生存年数(横軸) × 日々の充実度(縦軸)
私は、縦軸の「日々の充実度」を高めることを選びました。
そのために横軸(人生の長さ)が短くなるなら、それでもいい。
実際には何歳まで生きる予定だったかなど誰にも分からないのですから。
さらに、「思考は現実化する(ナポレオン・ヒル)」という言葉を信じ、
健康人であるかのように振る舞い、白血病のことを忘れて毎日を充実させました。
病は気から。この日から、私は再び自分らしくはしゃぎ始めました。
3. 満足した生き方は、満足した逝き方に繋がる
その10年後、私は一度「死を覚悟する」経験をしました。
家族のために生きると決めた10年間を達成した日、体調が急変したのです。
しかしその時、私は救急車を呼びませんでした。
「生きる目標を達成したお祝いの日に、命乞いをするのはふさわしくない」と感じたからです。
むしろ、ここまで生かされたことを祝福し、感謝しようと考えました。
すると、大きな安心感と満足感に包まれました。
一日一日を大切にし、自分らしく生きてきたからこそ、落ち着いて死を受け入れることができたのです。
「満足した生き方は、満足した逝き方ができる」
結果的に私は生かされました。この経験と気づきを伝えていくことが、今の私の使命だと感じています。
生き方は、いつも自分が決めています。 しあわせです感謝
「死」と向き合う医療スタッフに、希望の視点を
緩和ケアや在宅医療の現場で働くスタッフは、時に無力感に苛まれることがあります。
しかし、当事者の視点を知ることで、
「私たちのケアは、患者さんの『充実した生』を支えているんだ」と誇りを取り戻すことができます。
医療者の心を支え、ケアの質を高める講演をご提案します。
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