「やりたいことしかやらない」若手が激変する論理。キャリアの「3つの円(Will/Must/Can)」の正しい広げ方
「最近の若手は、やりたいことしかやらない」 「指示された基本行動(雑用)を、馬鹿にしてやらない」
そんな部下や後輩に対して、つい「生意気なこと言うな! 仕事なんだからやれ!」
と頭ごなしに叱ってしまっていませんか?
20年以上の研修講師・人材育成の経験から断言しますが、
「やりたくない」と言う部下を力で押さえつけても、行動は変わりません。
必要なのは、叱責ではなく**「納得できるロジック(論理)」**です。
この記事では、私が実際に若手社員の意識を一晩で変えた、キャリアの「3つの円」を使った指導法をご紹介します。
人が雇われる「2つの条件」とは?
まず、大前提として「なぜ会社は人を雇うのか?」を理解させる必要があります。
人を雇う条件は、大きく分けて2つしかありません。
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自分(会社・上司)が「できない」こと(キャパ・スキル不足)を補うため
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自分(会社・上司)が「やりたくない」こと(面倒な業務)を代行してもらうため
20年ほど前、私はこの真理を学び、あえて「後者(人が嫌がること)」を磨くことにしました。
その一つが「人前で話すこと(当時の誰もが嫌がった役目)」でした。これが今の私のキャリアの原点です。
「やりたくないこと」が「やりたいこと」への近道
かつて私が育てた若手の中に、「やりたくないからしない」と公言する社員がいました。
私は彼を叱るのではなく、まず彼の**「やりたいこと(Will)」**をじっくり聞きました。
その上で、このスライド(3つの円)を見せて説明しました。
「君が『やりたいこと(黄色の円)』を実現するためには、
まず『やれること(緑の円)』を大きく広げる必要がある。
そのためには、今目の前にある『やるべきこと=任務(青の円)』に全力で取り組むしかないんだ」
①まずは、与えられた任務(やりたくない事)をこなす。
②それにチャレンジすることで、君の「できること(能力)」が拡大していく。
③「できること」が増えた人材は、組織から頼りにされ、様々なチャンスが訪れる。
④そのチャンスをものにすることで、結果として**「やりたいこと」ができるポジションを引き寄せる**ことができる。
これが**「組織の歩き方」**です。
実際に、今社会で「やりたいこと」をしている人の経歴を調べてみれば、
必ず下積み時代にこのプロセスを経ているはずです。
ロジックが腹落ちすれば、若手は動く
この説明を受けた翌日から、その社員の就業態度は激変しました。
あれほど嫌がっていた基本行動を馬鹿にせず、着実かつ迅速にこなすようになったのです。
「目標(やりたい事)」と「現状(やりたくない事)」、
そしてその間を繋ぐ「プロセス(任務の実行)」の意味が明確になると、
人は一瞬にして行動が変わります。
「生意気なこと言ってんじゃねえよ」と感情で怒鳴る前に、
この「組織の歩き方」を論理的に説明してあげてください。
しっかりと受け止め、道筋を示してあげれば、
今の若者たちは私たちが思う以上に素直に、力強く成長し始めます。
しあわせです感謝
「最近の若手は扱いにくい」と諦めていませんか?
世代間のギャップは、「言葉(ロジック)」で埋めることができます。
感情的な指導ではなく、若手が納得し、
自ら動き出すための「キャリア自律」の考え方を、
貴社の研修に取り入れませんか?



