なぜ私は20年間、抗がん剤を飲み続けられるのか? 薬剤師視点で語る「薬」と「副作用」との付き合い方
国内最大級のがんサバイバーイベント「ジャパンキャンサーフォーラム2021」。
これまでサバイバーとして登壇してきましたが、
今年は初めて**「薬剤師」**として登壇することになりました。
テーマは、「がんになったとき困ること ~薬とお金のこと~」。
私は患者会やサロンで、いつもこう話しています。
「薬は、出来るだけ飲まない方がいいです」
薬剤師が何を言うんだ?と思われるかもしれません。しかし、これには続きがあります。
「そして、必要な薬はしっかり飲んだ方がいい」
この記事では、サバイバー薬剤師だからこそ語れる「薬との正しい付き合い方(アドヒアランス)」についてお話しします。
1. 「コンプライアンス(従順)」から「アドヒアランス(納得)」へ
昔は「医師の指示通りに飲む(コンプライアンス)」ことが良しとされていました。
しかし、今は**「患者自身が治療に参加し、納得して飲む(アドヒアランス)」**時代です 。
私は20年間、分子標的薬を毎日飲み続けています。
正直、強い倦怠感、下痢、皮膚症状といった副作用に日々悩まされています 。
それでも継続しているのは、医師に言われたからではありません。
薬剤師としての知識と情報収集力を駆使し、
「自分の人生の目的(生きがい)を達成するためには、この薬が必要だ」と自分自身で納得(決断)しているからです 。
2. 「自己判断」による中止の危険性
これまで多くの患者仲間をサポートしてきましたが、辛い副作用に耐えかねて、
自己判断で減量したり中止したりしている方に出会うことがあります。
その気持ちは痛いほど分かります。
しかし、何も伝えず自己判断で止めることには、再発や悪化という大きなリスクが伴います。
重要なのは、「辛い」という事実を医療者に伝え、対策を相談することです。
3. 「言えなかったこと」は薬剤師へ
「先生は忙しそうだから言えない…」 そんな時は、薬局の薬剤師を頼ってください。
薬剤師は薬のプロですが、皆さんの**「生活(食事、サプリ、不安)」**までは見えていません 。
逆に言えば、その情報を伝えてさえいただければ、生活スタイルに合わせた飲み方や、副作用対策を提案できます。
薬局は、予約なしでいつでも相談できる、最も身近な医療機関です。
あなたに合った「かかりつけ薬剤師」を見つけ、味方につけてください。
それが、納得して治療を続けるための鍵となります。
しあわせです感謝



