【JCF2021登壇録】がんの「薬とお金」の不安を解消する。経済毒性とアドヒアランス(納得して飲むこと)の重要性
がんと診断された時、医学的な治療のこと以外に、多くの患者さんを悩ませる「2つの現実的な問題」があります。
それは、**「薬(副作用・飲み忘れ)」と「お金(治療費・生活費)」**です。
2021年8月21日、日本最大のがんフォーラム「ジャパンキャンサーフォーラム(JCF2021)」に登壇いたしました。
テーマは、「がんになったとき困ること ~薬とお金のこと~」。
「がんと暮らしを考える会」理事長の賢見卓也さんと共に、
サバイバーが知っておくべき防衛術についてディスカッションしました。
1. 薬の話:「コンプライアンス」から「アドヒアランス」へ
私は薬剤師として、講演の冒頭でこう申し上げました。
「薬は、できるだけ飲まない方がいいです」
薬は異物ですから、飲まなくて済むならそれに越したことはありません。
だからこそ、「本当に必要な薬」に関しては、患者さん自身がその必要性を理解し、納得して飲むことが重要になります。
昔は「医師の指示通りに飲む(コンプライアンス=従順)」が良しとされていましたが、
今は**「患者が納得して治療に参加する(アドヒアランス=固守)」**という考え方が主流です。
「なぜこの薬が必要なのか?」 疑問があれば、薬剤師にどんどん質問してください。
納得感が、副作用を乗り越える力になります。
2. お金の話:「経済毒性」を知っていますか?
賢見さんからは、近年注目されている**「経済毒性(Financial Toxicity)」**について解説がありました。
抗がん剤の副作用(身体的毒性)と同じように、高額な治療費や収入減少による**「経済的なダメージ」も、
患者さんのQOL(生活の質)や生存率に悪影響を及ぼす**という概念です。
日本には「高額療養費制度」や「傷病手当金」などの素晴らしい制度がありますが、
知らなければ使えません。
賢見さんが紹介された**「がん制度ドック」**などのツールを活用し、
病院の相談支援センターを頼ることで、経済的な副作用を最小限に抑えることができます。
がん制度ドックはこちらから
https://www.ganseido.com/
3. 「かかりつけ薬剤師」を味方につける
(本文) お金や薬の不安を解消する鍵は、信頼できる専門家を味方につけることです。
私は、**「かかりつけ薬剤師」を持つことを強くお勧めしました。
複数の病院の薬や、市販薬、サプリメントの情報を一元管理してもらうことで、飲み合わせのリスクを防ぐだけでなく、
「夜間や休日の不安」**にも対応してもらえます。
「相談しやすい」「愛(おせっかい)がある」「説明が分かりやすい」 そんな薬剤師を見つけ、
あなたのチームに引き入れてください。
【アーカイブ動画】 当日のディスカッションの様子は、
こちらの動画でご覧いただけます。
しあわせです感謝
「相談できる薬剤師」が近くにいない方へ
「かかりつけ薬剤師を見つけたいけれど、どう探せばいいか分からない」
「ちょっとした薬の疑問を気軽に聞きたい」
そんな方は、私が運営する**無料オンラインサロン「がんサポ喫茶 止まり木」**へお越しください。
毎週木曜日、私を含めた薬剤師や医療者が、フラットな立場であなたの疑問にお答えします。



