【講義レポート】がん患者に「頑張れ」はNG? 名古屋大学・看護学生からの「100の質問」にサバイバー講師が本音で回答
「患者さんの心に寄り添うには、どうすればいいですか?」
名古屋大学医学部保健学科(地域在宅看護学概論)にて、未来の看護師さんたちに向けて講義を行いました。
テーマは、研修講師・薬剤師であり、がんサバイバーでもある私が語る「がんになって感じたこと・学んだこと」です。
毎年恒例となっているのが、学生の皆さんからの**「事前質問」**です。
今年もなんと約100件! 一つ一つが深く、未来の医療者としての真剣な眼差しを感じる質問ばかりでした。
この記事では、その中から特に核心を突いた質問と、私からの回答(メッセージ)の一部をご紹介します。
未来の看護師たちからの「100の質問」と「本音の回答」
学生の皆さんの疑問や不安に真摯に向き合い、経験者として率直にお答えしました。
Q1. 「頑張れ」という励ましはときに逆効果に…。久田さんが励ましになったと感じた言葉は?
A. 「一緒に考えましょう」という寄り添う言葉です。
がん患者は、言われなくても既に極限まで頑張っています。
そこに「頑張れ」と言われると、「これ以上どうすればいいの?」と追い詰められてしまいます。
私が嬉しかったのは、解決策を押し付けるのではなく、
「不安ですね。一緒に考えましょう」と横に並んでくれる言葉でした。
Q2. がんを患いながらの地域生活。医療従事者の介入で不安が和らいだ経験はありますか?
A. 「見通し」を示してくれた時です。
退院後の生活は不安だらけです。
そんな時、訪問看護師さんや薬剤師さんが「こういう症状が出たらこうすれば大丈夫」
「次はこういうステップに進みますよ」と、具体的な見通しを示してくれた時、
漠然とした不安が消え、安心感に変わりました。
Q3. 「目標生存期間達成日に臨終体験」後、目覚めた時のお気持ちは?
A. 「あぁ、生きているんだ」という静かな感動と感謝です。
以前、ワークショップで臨終体験(死にゆく過程を擬似体験すること)をしたことがあります。
死を覚悟し、そこから目覚めた時、当たり前の景色が輝いて見えました。
「死ぬまで生きている」。
命には限りがあるからこそ、今日一日を全力で楽しもうという覚悟が定まりました。
Q4. がんの際、医療従事者や周囲の方に「どのように接して欲しい」と感じましたか?
A. 「患者メガネ」ではなく「人メガネ」で見てほしい。
これに尽きます。病院では「患者さん」ですが、
一歩外に出れば私は「父」であり「仕事人」であり「趣味を楽しむ人」です。
病気の部分だけを見るのではなく、その人の生活や人生(背景)を含めて、
一人の人間として普通に接してほしいと願っています。
Q5. がんという病と向き合いながら、常に前向きに活動を続ける「原動力」は何か?
A. 「誰かの役に立ちたい」という想いです。
私の経験(痛みや苦しみも含めて)が、こうして未来の看護師さんの学びに繋がり、将来の患者さんを救うきっかけになる。 そう思えることが、私が生きる最大のエネルギー(原動力)になっています。
質問への回答こそが、私の成長の糧
毎年、この100の質問に答えるプロセスこそが、
私自身にとって最大の学びであり、成長し続けることができる最高の喜びです。
学生の皆さんの純粋で鋭い問いかけは、私に「医療の本質」を改めて問い直させてくれます。
今日の講義が、患者さんの心に寄り添うコミュニケーションのヒント、
そして「生」をパワフルに生きるヒントとして、皆さんの心に残れば幸いです。
未来の看護師さんたちに、心からのエールを。
しあわせです💖感謝
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教科書では学べない「患者さんのリアルな感情」や「言葉の重み」を、対話形式の講義でお伝えします。
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